Wanderlust in my life

自分が面白いなっと思ったことを書いてます。多分、役に立たないと思います

左側からみたアメリカの政治状況

最近、トランプ大統領の邸宅であるマー・ア・ラーゴにFBIが「襲撃」した話が、欧米のメディアで持ちきりですが、左に拠っているメディアとして有名な英国エコノミストに面白い分析がありましたので、ここで紹介したいと思います。

アメリカは分断されている

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8月16日に行われたワイオミング州共和党予備選挙で、3期目の当選を狙う下院議員のリズ・チェイニー氏が37ポイントの差をつけられ、ハリエット・ヘイジマン氏に落選したことが、左側というか、民主党を支持している方々に衝撃を与えていると読み取れる書き方で報じられています。

でも、この記事の肝は、共和党支持者と民主党支持者が、それぞれ相手の政党をどう見ているのかについて分析している点にあります。

他党に対する印象

このグラフによると、共和党員の62%が民主党員を「非常に疎ましく」感じており、共和党に対して同様の見方をする民主党員の割合は54%となっている。これは両党とも1994年の調査開始から上昇傾向が続いています。

また、アメリカでは他党の議員を不支持と表明するだけでなく、他党の議員を「否定的な性格の持ち主」と決めつける傾向が強まっているとのこと。

党派別他党への印象

民主・共和両党の大多数の支持者は、敵対する党の議員を「閉鎖的で不誠実、そして不道徳」な存在とみなしている。このような評価は、各党のイメージをある種のステレオタイプとして映し出していると見ることができる。

勤勉と個人的責任を美徳とする共和党員は、民主党員を「怠け者」だと言う傾向が2倍以上ある。一方、異なる文化やライフスタイルに寛容であると公言する民主党は、共和党のことを「心が閉じている」と言う傾向が強い。それぞれのグループの約半数が、相手の党員は「知性が低い」と答えている。

このような状況を改善するために「選択肢を増やすことが解決策だ」と考える政治家もいる。
しかし、「それでは問題を見誤る可能性がある」と、この記事の筆者は述べている。
「確かに両党を好ましく思わないアメリカ人は以前より増えているが、アメリカ政治を動かしている最も強力な力は、政治システム全体に対する不満ではなく、『相手側に対する憎悪』なのである」、とのこと。

まぁ、確かに、アメリカの選挙って、お互いに親の仇みたいにいがみ合ってるイメージがあるよね。
なぜにそこまで嫌悪し合うのか日本人の自分には、イマイチ理解できない点があるけど、ヨーロッパでも、それこそ韓国でも、選挙って、ある意味「命の奪い合い」みたいなところはあるよね。
そういえば、日本でも「勝てば官軍」、「選挙に落ちればただの人」ていうしね。
自分たちの将来を決める大事な選挙だと、確かに有権者である私達も熱くなるけど、でもどこ冷静に、そして合理的に判断してから投票しなけれいけないかなって思った次第です。

2024年の大統領選にトランプ氏は出るのか?

実は、こっちの記事のほうがメインというか、ある意味面白いんだけどね。

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まぁ、なんというか、左側の政治記事なんで無用な、というか過剰に修飾語をデコレーとしているので読み辛いのなんのって……。

結論から言うと、トランプ氏が出馬する可能性が徐々に高くなっていることに危機感を感じているってことなんだけどね。
どんな修飾語を使っているのか、その修飾語や挿入句を外したらどんな文になるのか分析するのも面白いけど、今回は素直に読み解いて、彼らがどんな危機感を抱いているのか紹介します。

トランプ氏は、2024年の大統領選に再出馬するのか?

この記事のテーマは、「トランプ氏は再出馬するのか?」、「その再出馬を阻止できるのか?」と2つあるんだけどね。
なんというか、両方とも、嫌で嫌でしょうがない感満載で、ある意味、笑えるんだけどね。

とりあえず、1つ目のテーマである「トランプ氏は再出馬するのか?」から見ていきましょう。

まずは、ワイオミング州で大敗したリズ・チェイニー氏を「議会から勇敢で信念を持った保守派を奪った」と評し、「負けた候補者の多くも彼(トランプ氏)の推薦を求めたことが、彼の影響力の大きさを示しているのかもしれない」と恐れおののいている様子が描かれております。

そして「保守主義の趣向の違いではなく、どの候補者が最もましであるかをめぐるものであった」と分析し、「いくつかの州の選挙行政の要職に就く同党の候補者は、2020年の投票が盗まれたというトランプ氏の危険な主張を支持する人たちである」とのレッテルを貼ることで自分を納得させております。

最後に、「2024年に共和党有権者が誰を党首に望んでいるかについての世論調査では、約50%がトランプ氏と答えている」、「各州で序盤の支持が30%得られれば、ほとんどのライバルを打ち負かすことができる現在の選挙制度において、これは非常に有利な地点に立っていると言える」とし、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏の「(大統領選挙で当選したいなら)トランプ氏の伴走者(副大統領候補)になることだ」という言葉を引き合いにし、再出馬することは間違いないと落胆してます。
まぁ、そうでしょうね。ご希望通りには行かないってことですね。

トランプ氏の再出馬を阻止できるのか?

再出馬がほぼ確定だとして、それを阻止できるのか?
つまり、トランプ氏が再出馬を希望し、共和党がそれを支持しても、何らかの手を使って阻止できないか、ってことなんですが、まぁ難しいでしょうねって結論なんだけどね。

まず、先日あった、FBIによるマー・ア・ラーゴ襲撃事件の件を検討してます。
「捜査が完了すれば、メリック・ガーランド司法長官は、文書は安全であり、仕事は終わったと判断する可能性がある」。つまり「やることやったけど、結果は白でした」となるかも、っと暗い未来を予想しております。
そして、「起訴に至るかどうかは、文書がどれほど機密性の高いものであったかによるだろう」と、最後の希望を残しております。

逆に「共和党員は、最も声高に主張しているのは、ガーランド氏の弾劾とFBIの資金削減」だとし、以前、共和党員は「(公務に)私用のメールサーバーを使用していたヒラリー・クリントンを拘束することを望んでいた」ことを考えると、これは「二重基準」だと逆ギレする始末。

そして「確定申告で嘘をついた」、「1月6日に法を犯した」、「2020年11月にジョージア州フルトン郡の選挙を覆す犯罪陰謀に参加した」などの3つの調査も同様に不確かなものであるため、「推定無罪」と言わざるを得ないとし、以前の過ち(弾劾裁判や、最高裁判事の任命の件など)を繰り返すなと申しております。以外にいさぎが良いですよね。
なによりも最後の決め台詞が良いです。「(何をやっても結局)彼はここにいる("And yet here he is")」

いいか、よく考えろよ「こうした法的トラブルがトランプ氏の出馬意欲を高めている」んだぞ、っと筆者は諭しております。
続けて「政界を離れれば、彼は起訴に直面する一人の私人に過ぎない」が、「大統領になる可能性がある限り、彼は前回7400万票を獲得したトップ候補」なんだぞ。仮にだ「裁判にかけられ、有罪になれば、トランプ氏の復活に拍車がかかるかもしれない」。「(トランプ氏の性格を考えれば)法制度によって迫害されたことへの報復を訴えるリベンジ・ツアーするに決まっている」。「(それは)トランプ氏の最悪の本能を刺激し、米国の選挙制度をさらに疲弊させることになる」んと思うんだ、っとなぜか日和っております。

日和った考えは、まだまだ続きます。
「以前であれば、大企業の影響力がトランプ氏の脇を固めたかもしれない」。
しかし「労働者階級の白人と保守的なヒスパニックが、共和党の運動の中心となりつつある現在、大企業の政治的影響力は弱まりつつある」。
そして、この運動は「外国への関与、不法移民、メディケアと社会保障の削減だけでなく、貿易やグローバルな経営エリートが進める左翼的なアイデンティティ政治にも抗議している」。
多くの共和党員は、共和党が長い間「アメリカの労働者よりも、大企業の利益を優先してきたと考えている」。
その結果、大企業が中間選挙共和党が勝利することを恐れている面もある。
共和党の既存勢力は、(トランプ氏の横暴を)覆す手段を持たない亡命政府のように振る舞っている」と現状を分析しております。
すっげぇ、笑えるんですけどねw

そして結末に向かいます。(以下、かなり意訳、というか超訳ですw)

共和党も当てにならず、法律でもトランプ氏を止められないのなら、我々に何ができるのであろうか?
チェイニー女史に「生きるか死ぬかの戦いである。ホワイトハウスに向かって走れ!」と発破をかけるために、民主党が嫌いな(そして理性的な)共和党員を動員しなければならない。
チェイニー女史がトランプと争い、多くの州で接戦の末でも、彼女が勝てれば、トランプの勝利を阻止できるかもしれない。

いやいや、それよりも、アメリカ国民の良識に頼った方が良いだろう。
トランプ氏は選挙に負けることを忘れている。大統領時代の4年間で、彼はホワイトハウスだけでなく、共和党の両院での多くの議席を失った。
多くの有権者は、彼が危険で非民主的であることを理解しており、ほとんどの人が彼の政権復帰を望んでいない。
トランプ氏が懸命に「投票は奪われた」キャンペーンを行うのは、選挙だけが自分を打ち負かすことができると知っているからである。

最後の最後は、他力本願で精神論ってところが笑えます。
っていうか、欧米の左翼の論調も、日本の左翼の論調もみんな同じで笑えます。
そんだけです。おしまい。

IRS(アメリカ歳入庁)が巨大化して、アメリカ人が戦々恐々としているというお話

8月16日にバイデン大統領がサインした「インフレ削減法」には、IRS(アメリカ歳入庁: 日本の国税庁みたいなお役所)の予算が約800億ドル増やされ、人員が最大87,000人増員、4,600丁の銃火器と500万発の弾薬が補充されることになり、なにやら大騒ぎになっているというお話です。

また、このインフレ削減法では、年収40万ドル以上の方への課税強化も盛り込まれているのですが、「そんなわけ無いだろ!」というツッコミが殺到しているというお話もあり、何やら面白くなっているので、ご紹介いたします。

記事は、New York Post からの引用です。

IRSは、捜査機関なのか?

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バイデン大統領が署名したこの法律によると、

歳入庁が保有する4,600丁の銃には、ピストル3,282丁、ショットガン621丁、ライフル539丁、完全自動小銃15丁、リボルバー4丁が含まれています。
捜査官が誰を撃つつもりなのかは不明である。最近の歳入庁の求人票には、応募者は「死力を尽くす覚悟がある」ことが条件と書かれている。

とあり、何やらきな臭いといいますか、戦争でもするの? と言いたくなるよう雰囲気ですよね。

そもそも、いつから歳入庁(日本で言うところの国税庁)が、武装するようになったのか?

歳入庁は、1919年に警察事業に参入し、時が経つにつれ乱暴になり、1997年と1998年の議会公聴会で「無実の中小企業への武装襲撃」を行うようになったと暴露された

IRS saves guns for 'serious criminal activity': retired agent

1919年というと、禁酒法時代ですね。マフィアが大手を振っていたという時代背景を考えると、なるほど、という感じですかね。
そういえば、アル・カポネも税法違反で逮捕されましたしね。

IRSによると、犯罪捜査部門だけが銃の携帯を許可されているとのこと。また、2021年の報告書によると、犯罪捜査部門はそのリソースの 72% を脱税者に割り当てているが、残りは、麻薬組織、マネー ロンダラー、サイバー詐欺師、詐欺師など、あらゆる種類の犯罪に関与しているとのことです。

彼らIRSの犯罪捜査部門は、FBI、DEA、その他の機関と協力して凶悪な犯罪者の捜査を行う。
「向こう側で何が起こっているのかを知らずに、ドアをノックすることは常に危険です」。そのため「武装するのは賢いことだ」と、2019年に同局を退職した元特別捜査官ドメニシス氏は述べたとのことです。

IRSは弱者の敵なのか?

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さて、先ほど、IRSは「無実の中小企業への武装襲撃」するとありましたが、以下のようなお話がありました。

テキサス州の牧場経営者であるデボラ・ハイダは、13年前に経験した厳しい税務調査について語りました。

「私たちは、古いトラクターのエンジン整備にかかった7,800ドルついて監査を受けました」
ハイダさんによると、銀行の記録をIRSにFAXで送れるか尋ねたが、IRSはそれを拒否し、彼らは彼女の家に来て、彼女のすべての財務記録を直接要求したとのこと。
「おそらく彼らは、その年の修理費用が高かったので目星を立てたのだ思います」
ハイダさんは、トラクターを買い換える余裕がなかったので修理したのですが、その修理のための費用の記録をすべて保持しているので監査官にそう述べたのですが、監査官は納得しませんでした。
「私は税務監査官の権限や、その権限の範囲についてまったく知りませんでした。そして私にはそれを制御することも、彼に与える情報の制御もできませんでした」とハイダさんは言いました。

なんか、日本の税務調査に似てますねw

結局、今回の増員は、何のために行われるのか?

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バイデン政権は、87,000人の増員により歳入庁を強化し、もって最も裕福なアメリカ人からより多くの税金を徴収するといっているのですが、「それは間違いである」と、ロナルド・レーガン大統領の元経済顧問で現在エコノミストであるアート・ラッファー氏はおっしゃっております。

「彼らには、多くの弁護士や会計士など、さまざまな専門家が就いています。国の最も裕福な市民なんです」
「彼らには多くのロビイストがいて、大きな影響力を持っています」
「彼らは税法を隅から隅まで知っていて、すべてのことをやっています。IRSが彼らを追跡しても、現在課税している、それ以上のお金を手に入れることはできません」

バイデン大統領と民主党の議員は、最低15%の法人税と1%の株式売買税を課すことで、7,370億ドルの歳入を確保すると述べています。
そして、この資金は、気候変動への取り組みや、薬剤の処方薬コストの削減に充てられるとのべていますが、しかしラッファー氏は、今回の増税の矢面に立たされるのは中産階級になると考えています。

「税率を上げると、上位1%の平均税収が上がるどころか、下がることが判っています」
「彼らは、税金に関する全ての抜け穴と、全ての資産の退避場所を熟知しているからです」

無党派の議会予算局(CBO)によると、インフレ削減法は、中産階級(労働者階級)のアメリカ人に新たな税金を数十億ドル課すことを強いていると試算したとのこと。
CBOの分析によると、年間所得が40万ドル未満の人々(バイデン大統領が増税しないと約束したグループ) は、民主党が推進した7,400億ドルの予算を持つインフレ削減法成立の結果として、今後10年間でさらに200億ドル以上の税金を支払うことになると推定しています。

Inflation Reduction Act will cost middle class $20B: CBO

また、CBOの分析では、IRSの予算を800億ドル増額すると、最終的には中小企業の所有者が、さらなる増税の対象になるとのこと。
ワシントンの政策調査会社キャピタル・アルファのマネジング・ディレクター、ジェームズ・ルシエ氏によると、

「ほとんどの中小企業はパススルー事業体(LLC や S Corps)として組織されています」
「税務監査強化の支持者は、パススルーエンティティをターゲットにしたいと具体的に述べています。これは、つまり中小企業と中小企業の所有者をターゲットにすることを意味します」

また、National Taxpayers Union Foundation のエグゼクティブ バイス プレジデントであるジョー・ヒンチマン氏によると、

「IRSは中小企業をターゲットにする必要があります。中小企業は反撃しないからです」
「これは以前にも見たことがあります。IRSは『私たちは金持ちを狙っている』と言っていますが、(インフレ削減法で)予定されている資金を集めようとすると、金持ちは、IRSの手の届かないところに逃げます」

なお、ジャネット・イエレン財務長官は、今回のIRS予算の増額は、中産階級の納税者からの徴収を増やす可能性があることを認めました。
そのため、イエレン長官は、先週送付したIRSコミッショナーへの書簡の中で、「インフレ削減法による増額分は、過去の水準と比較して、監査を行う『40万ドル』という基準値を上回る中小企業、または対象となる世帯の割合を増やすために使用されるべきではない」と指示した、とのことです。

この通達は、年収が75,000ドル未満のアメリカ人は、インフレ削減法により、新たに約711,000件がIRS監査の対象となり、また50万ドル以上を稼いでいる個人は、インフレ削減法の結果として、約95,000件の追加監査を受けることになるという、下院共和党が過去の監査率を使用して分析した結果に基づくとのこと。

『IRSは、基本的に無制限のリソースを持ち、説明責任がない。一方納税者は、会計士、税務弁護士の費用を比較検討する必要があり、その後、税務裁判所で「何か」と戦う必要があります』

Ex-IRS whistleblower says middle class targeted under inflation bill

と、歳入庁の元弁護士で、内部不正の申し立てを行った後に解雇させられたウィリアム・ヘンク氏は語ったとのこと。

我々日本人には、直接関係ありませんが、税金はどの国においても最大の関心事なので、見過ごせませんよね。
ましてや11月に、中間選挙があり、民主党劣勢の状況下でのドタバタ劇なので注目せざるを得ません。
今後の動向を注視していきたいと考えています。

混乱するスリランカの現在

The Economistの記事から

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2022年7月20日に、スリランカ議会は、ラニル・ウィクラマシンハ首相を新たな大統領に任命したけど、その後、どうなったのか分らなかったのだけど、英国のエコノミスト誌に新大統領のウィクラマシンハ氏とのインタビューが載っていたので、まとめてみた。

混乱が収まったスリランカ

日本でも報道されていたけど、スリランカの混乱は凄いものだったけど、現時点では相当程度収まっており、平穏とまではいかないけど、通常の生活はおくれる程度にはなっているとのこと。
その理由について、新大統領のウィクラマシンハ氏は、以下の理由を挙げいます。

* 多くのスリランカ人が混乱に疲れ、法と秩序を求めたこと
 ウィクラマシンハ氏の前任者で、スリランカの経済破綻の原因であるゴタバヤ・ラジャパクサ氏が国外に逃亡した後、国民は政府に事態を修復する機会を与えた
* すべての政党や一般市民と協力する姿勢を示したこと
 大統領としての最初の議会演説では、社会的・政治的改革について意見を募る「国民議会」の創設を語り、「活動家」を含む若者の参加を呼びかけた
 また、国会に新たな監視委員会を設置し、若者の代表をオブザーバーとして招聘した

中国との債務問題

今回、スリランカで発生した暴動は、中国との債務問題が原因だったんだけど、この点に関してウィクラマシンハ氏は、どのように考えているのか?

* 9月までに最初の契約が締結できると彼は楽観視している。しかし欧米の外交官達は懐疑的である
* 最近、中国がザンビアへの融資の一部を免除することに合意し、他の借り手にも同様の寛大さを示すかもしれないとの期待が高まっているが、ザンビアは低所得国であるが、スリランカは経済危機にもかかわらず中所得国であるため、このモデルが適用されない可能性があるとの指摘がある

内政問題

仮に中国との債務問題に見通しが立ったとしても、国内経済を立て直す必要があるのだけど、これに関しては、以下の施策を考えているようです。

* 公約として国民と約束している政策
 1) 所得税を2019年水準にまで「引き上げる」
 2) 課税対象を経済危機以前よりも拡大させる
 3) 国営航空会社、石油公社、国営通信会社等の政府持分を含む全べての国営企業の株式を売却する
 4) アメリカの連邦破産法11条をモデルにした新たな破産法を導入する

これらの政策について、ウィクラマシンハ氏は、以下のことを述べたとのこと

* 「変更を加えるときは、深く、必要な変更をすべて行う」と述べ、続けて「そうすればスリランカの経済は単に回復するだけでなく、より競争力のある輸出志向の経済となる」と、彼の希望を述べた
* またウィクラマシンハ氏は「アセアンやRCEPとの関係を緊密化することも視野に入れています」とも述べた

政策遂行のための体制作り

いくら御題目が優れていても、実際に遂行できる組織がなければ絵に描いた餅でしかありません。では、政策遂行のための組織編成についてどう考えているのかについてです

* しかし、ウィクラマシンハ氏がこれらのことを実現するためには、国会でこの困難な改革案を可決する必要があるが、その見通しは厳しい。これに対し、ウィクラマシンハ氏は全政党政権の樹立を画策しているが、これまでのところ前進していない
* 多くの議員は、2025年以降に予定されている次の選挙を見据えており、現在の痛みを伴なう増税と歳出削減政策に対する責任を分かち合う理由がないと考えている

ウィクラマシンハ氏の描く将来のスリランカ

最後にウィクラマシンハ氏が描く未来のスリランカ像についてですが、正直申し上て難しいと思うんですよね。

*『2048年までにスリランカを高所得国にする。シンガポールのような国にする』と彼は「空想的」に語っている
* 彼がより達成可能な目標として上ている国でさえ「タイ、マレーシア、ベトナムの水準にする」と、かなり野心的である

自分の感想

エコノミストは、「今のところ、多くのスリランカ人は、スリランカが数年前の水準に戻ることを喜んでいることだろう」と結んでいることから、なかなかな達成し難い目標だと思うんですよね、自分も。

スリランカは、観光大国で国内に大した産業がないうえに、隣国のインドとも仲が悪いしと、経済環境としては決っして褒められた状況ではないってのが問題なんだよね。

風光明媚で、国民も穏やかで、衛生面も優れているから、旅行にはお勧めなんだけど、実際に住む(移住する)となると日本人としては辛い面も確かにあるしね。

兎に角、隣りのインドの躍進が凄まじいので、どうしても弱小な隣国は煽りを食ってしまうんだよね。

中国との兼ね合いもあるので、今後もスリランカの動向には注目していく必要がありますよね。

以上です。

エネルギー関連ニュース: 揚水電池、紙電池、砂電池、廃油燃料

"Euronews.green"にあったエネルギー関連ニュースを4本まとめてお届けします。

スイス: 揚水電池

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揚水発電って知ってますか?
揚水発電とは、夜間・休日昼間などの需要の少ない時間帯に余剰電力で下部貯水池(下池)から上部貯水池(上池ダム)へ水を汲み上げておき、平日昼間・夕方などの需要が増加する時に、上池ダムから下池へ水を導き落とすことで発電する水力発電方式[Wikipedia]のことです。
別の言い方をすると、揚水発電の役割とは、大容量の「電力貯蔵」にあります。つまりダムの水を用いて、電力を「位置エネルギー」に変換して蓄える巨大な蓄電池と言うべきものとなります。
この揚水発電は、世界中で使われていますが、電力系統が他国から独立し、電力需要のピークとオフピークの差が大きい日本で特に普及した蓄電方法と言われています。
ちなみにWikipwdiaによると、日本では、約40箇所で稼動しており、新規に4箇所建設中とのことです。

で、今回紹介するスイスの揚水発電所なんですが、『タービン6基で総出力900MW、約90万世帯分の電力をまかなうことができる』とのこと。
そのため『エネルギー容量が2000万kWhの電力を蓄えることができるこの揚水発電所は、スイス及びヨーロッパのエネルギー網の安定化に大きな役割を果たすことが期待』されているとのことです。
日本にある、揚水発電所としては世界最大級の「神流川発電所(群馬県東京電力)」は、設計最大出力2,820MWなので、約3分の1の規模になりますね。

この揚水発電所は、スイスのヴァレー州にある「地下洞窟」に建設されました。下池貯水池は、ヴァレー州のエモソン貯水池とヴュー エモソン貯水池の間の地下 600 メートルにあり、完成までに14年かかったとのこと。
工場を建設するために、アルプスに18キロメートルのトンネルを掘るという難工事だったそうです。

この記事には、上池貯水池の写真や、発電機や建設資材を運ぶ巨大トンネルの写真があります。

スイス: 紙電池

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これもスイスからのニュースなんですが、ちょっと特殊な紙に水を数滴落すだけで電池になる「水電池」を開発したというニュースです。

  • スイス連邦材料科学技術研究所(EMPA)の研究チームは、この紙電池を2個、目覚まし時計のデジタル表示部に貼り付けてテストした。
  • 2滴の水滴で起動後、20秒で動き出し、乾き始めるまでの1時間、安定してディスプレイに電力を供給し続けました。単三電池の1.5Vに対し、ペーパー電源は最大1.2Vの安定した電圧を実現した。


問題は、どういった仕組みで機能しているか、ってことなんだけど、以下、引用しておきます。

  • まず、塩水に浸して乾燥させた短冊状の紙を用意
  • 片面には黒鉛フレーク入りのインクを印刷し、電池のプラス端子とする。もう一方の面には、亜鉛の粉末を含んだインクを使用し、マイナス端子とする
  • 紙の両面に黒鉛片とカーボンブラック(野菜の焦げのススのようなもの)を混ぜて刷り重ね、プラス端子とマイナス端子を繋ぐ
  • この紙に水を加えると、塩が溶けて帯電したイオンが放出される。このイオンはマイナス側で亜鉛接触し、亜鉛を酸化させ(金属が錆びるのと同じ過程)、電子を放出する
  • この紙電池に電気機器を接続すると回路が完成し、電子は電気機器を通してマイナス端子からプラス端子に流れる(電流はプラス端子からマイナス端子に流れる)
  • このプロセスにより、電子機器に電力を供給するための電流が生成される


なんか仕組みは簡単なので、自分で実験できそうですよね。

フィンランド: 砂電池

この記事はフィンランドからです。

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砂を大量に貯蔵し、その砂に熱を蓄え色々と使うというアイデアだそうです。
蓄える熱は、約500度。かなりの高温ですよね。
で、この熱は、なんと数ヶ月も保存できるので、夏の間に「貯蔵」して、冬に放出するのだとか。
この砂電池は、まだ実験段階で、使用する砂の量は100トン。今年の5月から稼動しているとのこと。

では、どういった仕組みでエネルギーを貯蔵し使うのか? 引用します。

  • そもそもは極めてシンプルな構造だ。背の高い灰色の塔に低級な砂を詰め、太陽光や風力発電の余剰電力で熱をチャージしている
  • これは抵抗加熱と呼ばれる仕組みで、超伝導体でない物質に電流を流したときに生じる摩擦によって熱が発生する。その熱風を熱交換器を通して容器内に循環させる


要するに、太陽光発電風力発電で余った電力を使って、砂で作た巨大な「抵抗器」を温め、そこから発生する熱を「熱交換器」を通じて特殊な「容器」に保存し循環させておくということ。
高校程度の物理の知識や、電気工学、電子工学の知識があれば、なるほどっと納得できますよね。

電気(この場合は「電流」のことね)を使うと、ほとんどの場合は「熱」として空中の放出されます。
スマフォを長時間使うと熱くなったり、不用意に白熱灯に触ると火傷するほど熱かったりしますよね。
これは「交換効率」の問題です。スマフォならCPU演算やディスプレイの表示、電波を使った通信なんかに電流を消費するけど、全部は使われず熱として空中に放出されます。
一般的に白熱灯は10%、蛍光灯で20%程度の交換効率と謂れています。つまり殆どのエネルギー(電流)は熱に変換される。ちなみにLEDの交換効率は90%を超ています。交換効率がものすごく高いのであんなに明いというわけですね。
あと、半導体の微細化技術が巷で話題ですが、これは省電力化に寄与するため(交換効率が向上するため)、各半導体メーカーが頑張ってるわけです。

話を戻すと、この砂電池の仕組みは、小学校の頃にやった、電池を繋いだニクロム線で発泡スチロールを切る、あの行為の応用と言えます。
砂の貯蔵庫(つまり巨大な抵抗器)に余剰電力を加える(荷電する)と、その加えられた電力は熱に変換されて空気中に放出されると同時に抵抗器である砂の貯蔵庫自体も熱を抱え込む。
実は砂って結構熱を貯め込むことは、みなさん知ってますよね。夏の砂場や、海の海岸の砂って、メチャクチャ熱いですよね。要はそれです。
その蓄える熱が「500度」なので、相当の高熱です。この熱でお湯は簡単に湧かせるし、熱自体を近隣地域に配熱できます。
そう、この「砂電池」は、電気を蓄えるのではなく、「熱」を蓄えるということなんです。
で、その熱をそのまま使うか、水を沸かしてタービンを回して発電したりできると。

発想としては面白いですよね。
ただ、実地で使うとなると設備の規模が大きくなることや、北よりも赤道付近の方が効率が良いと思うんだけど、っというお話でした。

フランス: ディーゼルエンジン用の廃油を利用した燃料

最後におフランスからです。

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要はバイオディーゼルが、やっとフランスで許可されるってお話です。
日本やイギリス、イタリアでは、ずっと前から許可されてるけど、今更って感じですよね。

バイオディーゼルって、確かにエコなんだけど、実は食用の廃油って結構入手が難しいんだよね。
何故なら、食用油の廃油は、豚や鶏の飼料として使われてるからね。
個人でちまちま貯め込んでも、その量なんかたいした量にはならないしね。

そういえば、テレビで、このバイオディーゼル車で旅する番組が以前あったような気がするんだけど……。
そんだけの話です。

不況の基準って何?

The Economist の記事から。

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不況であるかどうかの判断基準は、国や地域で違うというお話。
イギリス、フランス、ドイツでは、慣例として、2四半期連続でGDPがマイナス成長の場合に「不況」と判断されるとのこと。しかし多くのエコノミスト達からは、その対象期間が短かすぎるとの批判がある。
日本では、工場の生産高、小売の売上高、雇用など、複数の指標を用いており、またアメリカも日本と同様、雇用、個人所得、鉱工業生産など様々な要素を用いて不況を判断している。
そもそもアメリカ政府は、1978年以来、景気後退を宣言する権限を民間非営利研究団体である全米経済研究所(NBER)の「景気循環期間確定委員会(BCDC)」に委ねている。BCDCの元メンバーは、「GDPだけで景気を判断するのは、体温だけで病気を診察するのと同じだ」と言っているとのこと。

では、「不況」とはなにか?
一般的に、不況(recession: 景気後退)とは、経済活動が著しく低下する「期間」のこと。景気後退期には、通常、生産と投資の減少、企業の利益減少、失業率の上昇などが見られる。
この記事では、この期間をどう判断するのかについて考察している。
ぶっちゃけ、イギリスなんかは判断が早すぎて頻繁に変更されるし、日本やアメリカは『景気後退がかなり進行してから、時には後退が終わってから、景気後退の兆候を示す』ことになる。実際、私もそう感じてる。
でも、現実的な問題として、日本やアメリカでは、その「慎重なアプローチ」による影響はほぼないとのこと。
ただ、「政治的な騒動」になることは多々ある。実際、『共和党は、景気後退を引き起こした民主党を非難し、11月8日の中間選挙でその代償を払うことになるだろうと警告しており、逆に民主党は、そんな不況は存在しないと主張している』。
日本でもマスコミや野党が何やら騒いで暴れることあるけど、結局、大した話しにならないことが多いよね。

さて、今後の見通しについて、『もしアメリカに不況が訪れたとしても、それは比較的穏やかなものである可能性が高い。しかし、どこもかしこもそうとは限らない。イングランド銀行は、英国が5四半期にわたって生産高の減少に直面すると予測しています。貧しい国や中所得の国にとっては、さらに悪い予測です。世界銀行は、多くの国で「景気後退を避けるのは難しいだろう」と述べている。』とのこと。
アメリカでは、インフレ抑制のために金利を上げてるけど、すでに不況対策も考慮した予算を出してるけど、日本は……。
常日頃、疑問に思うのは、日本の財政官僚や政治家ってどっち向いて政策を作てるのかなってことなんだけどね。
いい加減、国民と向き合った政策をお願いしたいもんです。

石油、原油、LNG…… 何がどう違うのか、整理してみた

石油、原油LNG液化天然ガス)などよく聞く用語ですが、いまいち区別できないですよね。 そんなわけで、ちょっと整理してみました。

石油は液体ではない

  • 「石油」は、【地層 ---> 帽岩 ---> 油層】の「油層」に存在する
  • 「油層」は、多孔質(軽石)の岩石層で、石油は、その岩石のわずかな隙間にひそんでいる
  • 別の言い方をすれば、「軽石に石油を染み込ませた状態」で油層に存在している
  • 石油を蓄えた多孔質の岩石を「貯留岩」と呼ぶ
  • 貯留岩の代表的なものは、「砂岩」、「炭酸塩岩(石灰岩)」で、世界の大油田の約60%は砂岩層である
  • 顕微鏡で貯留岩のサンプルを拡大すると、岩石の粒子の間に石油がひそんでいる
  • 貯留岩めがけて地上から穴をあけると、貯留岩の中にひそんでいた石油(正確にいえば炭酸水素)が周囲の強力な圧力におされて、猛烈な勢いで噴出する
  • この噴出した炭酸水素が「液状」なら「原油」と呼ばれる
  • 「ガス状」なら「天然ガス」となる
  • ガス状で出てくるが、地上での処理中に液化するものは「NGL(Natural Gas Liquid: 天然ガソリン)」と呼ばれる
  • ふつう石油と天然ガスは少量の水、または砂などを混えて噴出するが、これを分離装置にかけて分る。この時の天然ガスを「随伴ガス」と呼び、天然ガス単独で噴出る場合と区別する
  • 天然ガスの状態は、油田によって違うが、大部分がメタン、一部がブタンやプロパンとなる
  • メタンを液化(摂氏マイナス162度)したのが「LNG(液化天然ガス)」と呼ばれる
  • ブタン、及びプロパンを液化(摂氏マイナス42度)したのが「LPG(液化石油ガス)」と呼ばれる
  • ここで大事なのは、石油は地下のプールのような型で溜ているわけではないこと

埋蔵量はどのくらいあるのか

  • 一般に「埋蔵量」とは「確認埋蔵量」のことをいう
  • 確認埋蔵量とは「現在の石油生産技術で採掘可能で、かつ商業ベースにのる(採算が取とれる)もの」をいう
  • 「原始埋蔵量」とは、地下に実際に存在しているだろうと推定される量のこと
  • 例えば、原始埋蔵量が550億キロリットル、確認埋蔵量(生産可能量)が110億キロリットルなら、回収率は20%となる
  • この回収率を少しでも高めるように研究が進められているが、この「回収率を高める技術」を「二次回収」という
  • 二次回収の代表的なものは、「水攻法(ウォーター・インジェクション、ウォーター・フラッディング)」という
  • この方法は、油井の周辺部に採油用の別の井戸を堀り、そこからポンプで高圧の水を注入する。そして油層の横から油分を押し出す
  • 油田によっては相当効果があるが、どこでも効果をあげることができるわけではない
  • 失敗すると水が通り抜け生産井から大量の水が出ることとなり、まさにフラッディング(洪水)となりかねない
  • 水の代りに天然ガスを押し込む方法を「ガス・インジェクション」という
  • 天然ガスをわざわざ使わなくとも、エネルギーとして使えば良いと考えるが、多くの油田では随伴ガスを利用しきれず燃やしているのが現状であるため、この天然ガスを二次回収に使う方が効率的となる
  • なお、ここにいう「二次回収」の二次とは、一次回収の量を増やすための「補助手段」という意味であり、一次回収の一部を構成している

油田について

  • 石油の井戸には三種類ある
    1) 試掘井(exploration well, wildcat)
    → 石油や天然ガスがあるかどうか分らない状態で掘る試掘の井戸
    2) 評価井(appraisal well, step-out)
    → 石油や天然ガスが見付かり、その油田の広さを確認するために掘るもの
    3) 生産井(production well, development well)
    → 実際の生産のための井戸。試掘井や評価井をそのまま生産井に使う場合もある
  • 試掘井や評価井で、ハズレた井戸をドライホールという

バレル / トン / キロリットル

  • 1バレル = 42アメリカ・ガロン = 158.938リットル
  • 一般的には、1バレルは、159リットルと理解されている
  • イメージとして、1バレルは、「直径45cm高さ1mの円柱の容積」、または「一辺54cmの正方体の体積」と同じ容積となる
  • ちなみに「バレル」とは、量(容量)を意味する
  • 日本では「キロリットル」を使うが、国際的には「バレル」か「トン」を使うのが一般的
  • 換算法
    • 原油:「トン」を「キロリットル」に直す ---> 「1.16」をかける
    • 原油:「キロリットル」を「トン」に直す ---> 「0.863」をかける
    • 原油:「一日当りバレル」を「キロリットル/年」に直す ---> 「58倍」する
    • 原油:「キロリットル/年」を「一日当りバレル」に直す ---> 「0.017倍」する

こんな感じかな?
ご参考までに

レストランのメニューにカロリーを表記するよりも、CO2eを表記するほうが重要なのか?

Euronewsにあった面白記事から。

イギリスで、メニューへのカロリー情報記載が義務付け

イギリスでは今年の4月から、従業員250人上の飲食業を経営する企業は、メニューにカロリー情報を掲載することが義務づけられた。
これは、カフェ、レストラン、テイクアウト店などが対象となる。
マウドナルドなどの有名チェーンでは既に導入されているが、イギリス国内の多くの飲食店にとっては新しい試みとなる。
で、なんでこんな法律が施行されたのかというと、「2019年のイングランド健康調査(HSE)によると、イングランドでは成人の28%が肥満で、さらに36%が太り過ぎに分類されると推定される。また合計で33パーセントの子どもたちは、小学校を卒業するまでに太り過ぎと分類さる」ため、国民全体の肥満率を下げ、NHS(National Health Service。イギリスの国民健康保険)への負担を軽減する必要があったためらしい。
また政府は、カロリー情報が「外食やテイクアウトを注文する際に、人々がより多くの情報に基づき、より健康的な選択をすることができるようになる」とも考えているらしい。
まぁ、ここまでが前提のお話なんだけどね。

メニューにカロリーなんか記載されたら、気になって食事できないと筆者激おこ

この記事の筆者は、イギリスでは125万人の摂食障害を抱えている人がいると推定されることから、カロリー情報をメニューに追加することは、「何百万人もの人々の健康と幸福に影響を与える」と考えてるわけ。
そして、イングランド公衆衛生局が行った調査によると、回答者の79%がメニューにカロリー情報を記載すべきと考えているが、メニューへのカロリー情報記載は「拒食症や過食症の人がカロリーを制限することに固執したり、大食い障害の人が罪悪感を強めたりする」ことがあるから問題だと言てるのね。
極めつけは、個人的な体験として、友人、家族、同僚と本件について話し合たけど、「ほんの一握りの人は、食事の際にカロリーを気にしてしまうかも」と考えていたらしいんだけど、この極少数の意見を全面展開して、「消費するカロリーのことを考えずに食事をしたり、その食事に罪悪感を感じないのなら、私はあなたに拍手を送りたい」らしい。
まぁ、何と言うか、よくあるリベラル全開な展開なんで、コーヒー吹かなかったんだけど、「私は、メニューにカロリーが表示されてから、私の食事のほとんどは、食事の説明の下に点在する数字に支配されてしまった」と嘆いており、「取るに足らない小さな数字が、私の食事選びを大きく変えたの!」だそうです。
ただ一点、「より健康的な食品を選ぶためには、カロリー計算と一緒に栄養情報も表示されなければならない」という点は同意。それだけだけど。

消費カロリーよりも環境保護が大事なんです

さて、この筆者の面白いところは、メニューにカロリーなんか記載するなら「CO2e」を追加すべきだと述べている点なんだけどね。
「CO2e」とは、「二酸化炭素排出換算値」のことで、食材の生産、加工、流通、調理、梱包材など、提供される食事に係る二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)を示しているということ。
つまり、「その食事を取ると、あなたはCO2を○○だけ排出したと同じですよ」と脅してるわけ。まぁ、あくまで目安でしかないんだけど。

また、なにやら国連の方の人によると、2030年のサステナビリティ目標に向けた「料理」のCO2排出量目標は、0.5kg以下だそうで。
で、筆者曰く「私たちの食の選択がもたらす炭素への影響について、より多くの認識と理解を得て初めて達成できる目標です。世界全体で、食品は世界の炭素排出量の28パーセントを占めています」なんだって。
そんでもって、「ドイツのヴュルツブルク大学が行った最近の研究によると、各食事のカーボンフットプリントが提供された場合、より環境に配慮した食事を選ぶことがわかりました」とか、「カーボンフットプリントと温室効果ガス排出量が最も少ない食事をデフォルトの選択肢として設定したところ、大多数の食事利用者がより環境に配慮した食事を選択しました」とか、おっしゃておりました。
あとあと、「一方、イギリスでは、メニューのカロリー情報が肥満対策に役立っているという具体的な証拠は今のところない」とか、「イギリスやヨーロッパで記録的な猛暑は、気候変動の影響が現実のものとなっている」とか並び立て、「メニューに炭素影響を表示することで、気候に関するより詳しい情報を得ることができる可能性がわずかでもあるのなら、この動きは本格的に検討されるべきでしょう」と、いつものリベラル的な希望・願望を並べており、大変に面白おかしく読していただきました。
で、結論として「一人の消費者の行動が気候変動の流れを変えることはできませんが、多くの消費者の知識、力、行動を結集することで、気候変動の流れを変えることができるかもしれません」だって。

すごいね。消費者一人一人の行動で、地球環境が変えられるんだね。でもさぁ、そう思ているのはヨーロッパとかアメリカとか日本とかの「お金持ち国家」だけだと思うけどね。自分としては、環境保護なんか考えられる余裕のある国なんか、まぁ多く見積てOEDC加盟国位だと思うけど。
実際問題として、明日の食事だけでなく今日の食事すら事欠くような環境で「CO2ガ〜ァ」とか叫んでも誰も聞かないと思うんだよね。
自分がいかに恵まれた環境で生活しているのかを、もう少し考えてほしいなって思いまふ。
以上です。

参照記事 euronews.green: Why are UK restaurants adding calories to menus when CO2 emissions are far more important?
https://www.euronews.com/green/2022/07/31/why-are-uk-restaurants-adding-calories-to-menus-when-co2-emissions-are-far-more-important

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