石油、原油、LNG…… 何がどう違うのか、整理してみた
石油、原油、LNG(液化天然ガス)などよく聞く用語ですが、いまいち区別できないですよね。 そんなわけで、ちょっと整理してみました。
石油は液体ではない
- 「石油」は、【地層 ---> 帽岩 ---> 油層】の「油層」に存在する
- 「油層」は、多孔質(軽石)の岩石層で、石油は、その岩石のわずかな隙間にひそんでいる
- 別の言い方をすれば、「軽石に石油を染み込ませた状態」で油層に存在している
- 石油を蓄えた多孔質の岩石を「貯留岩」と呼ぶ
- 貯留岩の代表的なものは、「砂岩」、「炭酸塩岩(石灰岩)」で、世界の大油田の約60%は砂岩層である
- 顕微鏡で貯留岩のサンプルを拡大すると、岩石の粒子の間に石油がひそんでいる
- 貯留岩めがけて地上から穴をあけると、貯留岩の中にひそんでいた石油(正確にいえば炭酸水素)が周囲の強力な圧力におされて、猛烈な勢いで噴出する
- この噴出した炭酸水素が「液状」なら「原油」と呼ばれる
- 「ガス状」なら「天然ガス」となる
- ガス状で出てくるが、地上での処理中に液化するものは「NGL(Natural Gas Liquid: 天然ガソリン)」と呼ばれる
- ふつう石油と天然ガスは少量の水、または砂などを混えて噴出するが、これを分離装置にかけて分る。この時の天然ガスを「随伴ガス」と呼び、天然ガス単独で噴出る場合と区別する
- 天然ガスの状態は、油田によって違うが、大部分がメタン、一部がブタンやプロパンとなる
- メタンを液化(摂氏マイナス162度)したのが「LNG(液化天然ガス)」と呼ばれる
- ブタン、及びプロパンを液化(摂氏マイナス42度)したのが「LPG(液化石油ガス)」と呼ばれる
- ここで大事なのは、石油は地下のプールのような型で溜ているわけではないこと
埋蔵量はどのくらいあるのか
- 一般に「埋蔵量」とは「確認埋蔵量」のことをいう
- 確認埋蔵量とは「現在の石油生産技術で採掘可能で、かつ商業ベースにのる(採算が取とれる)もの」をいう
- 「原始埋蔵量」とは、地下に実際に存在しているだろうと推定される量のこと
- 例えば、原始埋蔵量が550億キロリットル、確認埋蔵量(生産可能量)が110億キロリットルなら、回収率は20%となる
- この回収率を少しでも高めるように研究が進められているが、この「回収率を高める技術」を「二次回収」という
- 二次回収の代表的なものは、「水攻法(ウォーター・インジェクション、ウォーター・フラッディング)」という
- この方法は、油井の周辺部に採油用の別の井戸を堀り、そこからポンプで高圧の水を注入する。そして油層の横から油分を押し出す
- 油田によっては相当効果があるが、どこでも効果をあげることができるわけではない
- 失敗すると水が通り抜け生産井から大量の水が出ることとなり、まさにフラッディング(洪水)となりかねない
- 水の代りに天然ガスを押し込む方法を「ガス・インジェクション」という
- 天然ガスをわざわざ使わなくとも、エネルギーとして使えば良いと考えるが、多くの油田では随伴ガスを利用しきれず燃やしているのが現状であるため、この天然ガスを二次回収に使う方が効率的となる
- なお、ここにいう「二次回収」の二次とは、一次回収の量を増やすための「補助手段」という意味であり、一次回収の一部を構成している
油田について
- 石油の井戸には三種類ある
1) 試掘井(exploration well, wildcat)
→ 石油や天然ガスがあるかどうか分らない状態で掘る試掘の井戸
2) 評価井(appraisal well, step-out)
→ 石油や天然ガスが見付かり、その油田の広さを確認するために掘るもの
3) 生産井(production well, development well)
→ 実際の生産のための井戸。試掘井や評価井をそのまま生産井に使う場合もある - 試掘井や評価井で、ハズレた井戸をドライホールという
バレル / トン / キロリットル
- 1バレル = 42アメリカ・ガロン = 158.938リットル
- 一般的には、1バレルは、159リットルと理解されている
- イメージとして、1バレルは、「直径45cm高さ1mの円柱の容積」、または「一辺54cmの正方体の体積」と同じ容積となる
- ちなみに「バレル」とは、量(容量)を意味する
- 日本では「キロリットル」を使うが、国際的には「バレル」か「トン」を使うのが一般的
- 換算法
こんな感じかな?
ご参考までに