Wanderlust in my life

自分が面白いなっと思ったことを書いてます。多分、役に立たないと思います

混乱するスリランカの現在

The Economistの記事から

www.economist.com

2022年7月20日に、スリランカ議会は、ラニル・ウィクラマシンハ首相を新たな大統領に任命したけど、その後、どうなったのか分らなかったのだけど、英国のエコノミスト誌に新大統領のウィクラマシンハ氏とのインタビューが載っていたので、まとめてみた。

混乱が収まったスリランカ

日本でも報道されていたけど、スリランカの混乱は凄いものだったけど、現時点では相当程度収まっており、平穏とまではいかないけど、通常の生活はおくれる程度にはなっているとのこと。
その理由について、新大統領のウィクラマシンハ氏は、以下の理由を挙げいます。

* 多くのスリランカ人が混乱に疲れ、法と秩序を求めたこと
 ウィクラマシンハ氏の前任者で、スリランカの経済破綻の原因であるゴタバヤ・ラジャパクサ氏が国外に逃亡した後、国民は政府に事態を修復する機会を与えた
* すべての政党や一般市民と協力する姿勢を示したこと
 大統領としての最初の議会演説では、社会的・政治的改革について意見を募る「国民議会」の創設を語り、「活動家」を含む若者の参加を呼びかけた
 また、国会に新たな監視委員会を設置し、若者の代表をオブザーバーとして招聘した

中国との債務問題

今回、スリランカで発生した暴動は、中国との債務問題が原因だったんだけど、この点に関してウィクラマシンハ氏は、どのように考えているのか?

* 9月までに最初の契約が締結できると彼は楽観視している。しかし欧米の外交官達は懐疑的である
* 最近、中国がザンビアへの融資の一部を免除することに合意し、他の借り手にも同様の寛大さを示すかもしれないとの期待が高まっているが、ザンビアは低所得国であるが、スリランカは経済危機にもかかわらず中所得国であるため、このモデルが適用されない可能性があるとの指摘がある

内政問題

仮に中国との債務問題に見通しが立ったとしても、国内経済を立て直す必要があるのだけど、これに関しては、以下の施策を考えているようです。

* 公約として国民と約束している政策
 1) 所得税を2019年水準にまで「引き上げる」
 2) 課税対象を経済危機以前よりも拡大させる
 3) 国営航空会社、石油公社、国営通信会社等の政府持分を含む全べての国営企業の株式を売却する
 4) アメリカの連邦破産法11条をモデルにした新たな破産法を導入する

これらの政策について、ウィクラマシンハ氏は、以下のことを述べたとのこと

* 「変更を加えるときは、深く、必要な変更をすべて行う」と述べ、続けて「そうすればスリランカの経済は単に回復するだけでなく、より競争力のある輸出志向の経済となる」と、彼の希望を述べた
* またウィクラマシンハ氏は「アセアンやRCEPとの関係を緊密化することも視野に入れています」とも述べた

政策遂行のための体制作り

いくら御題目が優れていても、実際に遂行できる組織がなければ絵に描いた餅でしかありません。では、政策遂行のための組織編成についてどう考えているのかについてです

* しかし、ウィクラマシンハ氏がこれらのことを実現するためには、国会でこの困難な改革案を可決する必要があるが、その見通しは厳しい。これに対し、ウィクラマシンハ氏は全政党政権の樹立を画策しているが、これまでのところ前進していない
* 多くの議員は、2025年以降に予定されている次の選挙を見据えており、現在の痛みを伴なう増税と歳出削減政策に対する責任を分かち合う理由がないと考えている

ウィクラマシンハ氏の描く将来のスリランカ

最後にウィクラマシンハ氏が描く未来のスリランカ像についてですが、正直申し上て難しいと思うんですよね。

*『2048年までにスリランカを高所得国にする。シンガポールのような国にする』と彼は「空想的」に語っている
* 彼がより達成可能な目標として上ている国でさえ「タイ、マレーシア、ベトナムの水準にする」と、かなり野心的である

自分の感想

エコノミストは、「今のところ、多くのスリランカ人は、スリランカが数年前の水準に戻ることを喜んでいることだろう」と結んでいることから、なかなかな達成し難い目標だと思うんですよね、自分も。

スリランカは、観光大国で国内に大した産業がないうえに、隣国のインドとも仲が悪いしと、経済環境としては決っして褒められた状況ではないってのが問題なんだよね。

風光明媚で、国民も穏やかで、衛生面も優れているから、旅行にはお勧めなんだけど、実際に住む(移住する)となると日本人としては辛い面も確かにあるしね。

兎に角、隣りのインドの躍進が凄まじいので、どうしても弱小な隣国は煽りを食ってしまうんだよね。

中国との兼ね合いもあるので、今後もスリランカの動向には注目していく必要がありますよね。

以上です。