Wanderlust in my life

自分が面白いなっと思ったことを書いてます。多分、役に立たないと思います

IRS(アメリカ歳入庁)が巨大化して、アメリカ人が戦々恐々としているというお話

8月16日にバイデン大統領がサインした「インフレ削減法」には、IRS(アメリカ歳入庁: 日本の国税庁みたいなお役所)の予算が約800億ドル増やされ、人員が最大87,000人増員、4,600丁の銃火器と500万発の弾薬が補充されることになり、なにやら大騒ぎになっているというお話です。

また、このインフレ削減法では、年収40万ドル以上の方への課税強化も盛り込まれているのですが、「そんなわけ無いだろ!」というツッコミが殺到しているというお話もあり、何やら面白くなっているので、ご紹介いたします。

記事は、New York Post からの引用です。

IRSは、捜査機関なのか?

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バイデン大統領が署名したこの法律によると、

歳入庁が保有する4,600丁の銃には、ピストル3,282丁、ショットガン621丁、ライフル539丁、完全自動小銃15丁、リボルバー4丁が含まれています。
捜査官が誰を撃つつもりなのかは不明である。最近の歳入庁の求人票には、応募者は「死力を尽くす覚悟がある」ことが条件と書かれている。

とあり、何やらきな臭いといいますか、戦争でもするの? と言いたくなるよう雰囲気ですよね。

そもそも、いつから歳入庁(日本で言うところの国税庁)が、武装するようになったのか?

歳入庁は、1919年に警察事業に参入し、時が経つにつれ乱暴になり、1997年と1998年の議会公聴会で「無実の中小企業への武装襲撃」を行うようになったと暴露された

IRS saves guns for 'serious criminal activity': retired agent

1919年というと、禁酒法時代ですね。マフィアが大手を振っていたという時代背景を考えると、なるほど、という感じですかね。
そういえば、アル・カポネも税法違反で逮捕されましたしね。

IRSによると、犯罪捜査部門だけが銃の携帯を許可されているとのこと。また、2021年の報告書によると、犯罪捜査部門はそのリソースの 72% を脱税者に割り当てているが、残りは、麻薬組織、マネー ロンダラー、サイバー詐欺師、詐欺師など、あらゆる種類の犯罪に関与しているとのことです。

彼らIRSの犯罪捜査部門は、FBI、DEA、その他の機関と協力して凶悪な犯罪者の捜査を行う。
「向こう側で何が起こっているのかを知らずに、ドアをノックすることは常に危険です」。そのため「武装するのは賢いことだ」と、2019年に同局を退職した元特別捜査官ドメニシス氏は述べたとのことです。

IRSは弱者の敵なのか?

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さて、先ほど、IRSは「無実の中小企業への武装襲撃」するとありましたが、以下のようなお話がありました。

テキサス州の牧場経営者であるデボラ・ハイダは、13年前に経験した厳しい税務調査について語りました。

「私たちは、古いトラクターのエンジン整備にかかった7,800ドルついて監査を受けました」
ハイダさんによると、銀行の記録をIRSにFAXで送れるか尋ねたが、IRSはそれを拒否し、彼らは彼女の家に来て、彼女のすべての財務記録を直接要求したとのこと。
「おそらく彼らは、その年の修理費用が高かったので目星を立てたのだ思います」
ハイダさんは、トラクターを買い換える余裕がなかったので修理したのですが、その修理のための費用の記録をすべて保持しているので監査官にそう述べたのですが、監査官は納得しませんでした。
「私は税務監査官の権限や、その権限の範囲についてまったく知りませんでした。そして私にはそれを制御することも、彼に与える情報の制御もできませんでした」とハイダさんは言いました。

なんか、日本の税務調査に似てますねw

結局、今回の増員は、何のために行われるのか?

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バイデン政権は、87,000人の増員により歳入庁を強化し、もって最も裕福なアメリカ人からより多くの税金を徴収するといっているのですが、「それは間違いである」と、ロナルド・レーガン大統領の元経済顧問で現在エコノミストであるアート・ラッファー氏はおっしゃっております。

「彼らには、多くの弁護士や会計士など、さまざまな専門家が就いています。国の最も裕福な市民なんです」
「彼らには多くのロビイストがいて、大きな影響力を持っています」
「彼らは税法を隅から隅まで知っていて、すべてのことをやっています。IRSが彼らを追跡しても、現在課税している、それ以上のお金を手に入れることはできません」

バイデン大統領と民主党の議員は、最低15%の法人税と1%の株式売買税を課すことで、7,370億ドルの歳入を確保すると述べています。
そして、この資金は、気候変動への取り組みや、薬剤の処方薬コストの削減に充てられるとのべていますが、しかしラッファー氏は、今回の増税の矢面に立たされるのは中産階級になると考えています。

「税率を上げると、上位1%の平均税収が上がるどころか、下がることが判っています」
「彼らは、税金に関する全ての抜け穴と、全ての資産の退避場所を熟知しているからです」

無党派の議会予算局(CBO)によると、インフレ削減法は、中産階級(労働者階級)のアメリカ人に新たな税金を数十億ドル課すことを強いていると試算したとのこと。
CBOの分析によると、年間所得が40万ドル未満の人々(バイデン大統領が増税しないと約束したグループ) は、民主党が推進した7,400億ドルの予算を持つインフレ削減法成立の結果として、今後10年間でさらに200億ドル以上の税金を支払うことになると推定しています。

Inflation Reduction Act will cost middle class $20B: CBO

また、CBOの分析では、IRSの予算を800億ドル増額すると、最終的には中小企業の所有者が、さらなる増税の対象になるとのこと。
ワシントンの政策調査会社キャピタル・アルファのマネジング・ディレクター、ジェームズ・ルシエ氏によると、

「ほとんどの中小企業はパススルー事業体(LLC や S Corps)として組織されています」
「税務監査強化の支持者は、パススルーエンティティをターゲットにしたいと具体的に述べています。これは、つまり中小企業と中小企業の所有者をターゲットにすることを意味します」

また、National Taxpayers Union Foundation のエグゼクティブ バイス プレジデントであるジョー・ヒンチマン氏によると、

「IRSは中小企業をターゲットにする必要があります。中小企業は反撃しないからです」
「これは以前にも見たことがあります。IRSは『私たちは金持ちを狙っている』と言っていますが、(インフレ削減法で)予定されている資金を集めようとすると、金持ちは、IRSの手の届かないところに逃げます」

なお、ジャネット・イエレン財務長官は、今回のIRS予算の増額は、中産階級の納税者からの徴収を増やす可能性があることを認めました。
そのため、イエレン長官は、先週送付したIRSコミッショナーへの書簡の中で、「インフレ削減法による増額分は、過去の水準と比較して、監査を行う『40万ドル』という基準値を上回る中小企業、または対象となる世帯の割合を増やすために使用されるべきではない」と指示した、とのことです。

この通達は、年収が75,000ドル未満のアメリカ人は、インフレ削減法により、新たに約711,000件がIRS監査の対象となり、また50万ドル以上を稼いでいる個人は、インフレ削減法の結果として、約95,000件の追加監査を受けることになるという、下院共和党が過去の監査率を使用して分析した結果に基づくとのこと。

『IRSは、基本的に無制限のリソースを持ち、説明責任がない。一方納税者は、会計士、税務弁護士の費用を比較検討する必要があり、その後、税務裁判所で「何か」と戦う必要があります』

Ex-IRS whistleblower says middle class targeted under inflation bill

と、歳入庁の元弁護士で、内部不正の申し立てを行った後に解雇させられたウィリアム・ヘンク氏は語ったとのこと。

我々日本人には、直接関係ありませんが、税金はどの国においても最大の関心事なので、見過ごせませんよね。
ましてや11月に、中間選挙があり、民主党劣勢の状況下でのドタバタ劇なので注目せざるを得ません。
今後の動向を注視していきたいと考えています。